ウェビナーに触発されました

 こんにちは、奥谷です。コロナ禍で不便なこともたくさんありますが、リモートになったことで家から大学の講演もできますし、日本でもカンボジアでも東京や海外、田舎にいる方々のお話が聴けるようになりました。

 先日はここに投稿しているアバター村民と共に日本農業新聞論説委員の緒方大造さんのお話を聞かせていただきました。40年近い現場での取材を重ね、日本の農業がいかに危機に直面しているかというのを生産人口・年齢の推移などのデータに基づいてご説明いただき、そして利他の精神、「つながる経済」が鍵であるということを教えてくださり、改めて私たちが山口県の片田舎から都会だけでなく、アジアのコミュニティとも繋がっていることの大切さを再認識しました。

 「農」はいろんな意味・役割を持っています。単に食糧である米や野菜などを供給するということだけでなく、緑化・景観を守ることは災害を防ぐこと、地球温暖化の問題にも繋がりますし、また土に触れ、収穫で得る喜びはやはり生きるために欠かすことができないものだというのをコロナが教えてくれたのではないでしょうか。

 2年前にコロナが始まったばかりの頃、世界中で外出を控えてうずうずしていた時に私はカンボジアのカシューナッツ畑でマスクなしで、学校閉鎖になった地元の生徒たちとカシューナッツの手入れをしていました。私たちの活動拠点が街中だけだったら、マーケットに食材を買いに行っていつ感染が移るかを怯えながら暮らさねばならなかったのですが、カンカン照りの中、放牧させていた牛にも時々追いかけられながら、健康的な生活を送っていました。

 いくらお金を持っていても自国で食品、その原材料を調達できなくなったら世界との争奪戦になりますが、どうも今は日本が有利な状況にあるとは思えません。農を「成長成功ビジネス」としてお金持ちになりたいことを目標に掲げれば、大規模・効率化・機械化をどんどん進めていく方向にしかないと思うのですが、自分で食べ物を得る、そのために汗を流す「私の生き方」と考えれば、農産物を買いたいという生活者との向き合い方、暮らし方、お金の使い方も変わってくるんだなというのを最近感じています。といっても、私は時々お手伝いに行く程度ですが、しかしこの1800万人ともいわれる農村との交流人口、その中で構想・実行していく人間が大事と緒方さんもおっしゃっていました。何度聞き直しても私たちの背中を押して、勇気を与えてくださる、とても刺激のあるお話でした。