発酵食品を日常生活に取り入れる

くすのき定住8年目日記 No.2

発酵食品を日常生活に取り入れる
高田夏実

コロナウイルスの感染についてのニュースを見ていると、どこかウイルスに近づくとそこにいた人全員が病気にかかるのではないか…といった不安な気持ちになりがちだ。

しかし冷静に考えると、インフルエンザでも風邪でも、菌が近くにいたから皆が感染するということはない。色々な例外や複雑な話は一旦横に置いてしまうと、基本的には免疫力の問題というシンプルな話に帰結するのかもしれない。

私たちに自給養鶏のエッセンスを教えてくれた小田浩さんも言っていた。

「行政の担当者が鶏インフルエンザのウイルスを近づけないで下さい。なるべく排除して下さいと言ってきた。だから私は、こう言ったよ。鶏インフルエンザの菌なんて、いるに決まっているじゃないか。どこにでもいる。いるけど発症しないんだよ。そうしたら、怖いこと言わないで下さいよ…と担当者は言っていたが、当たり前のことだよね?」と。

楠では小田さんに教わった方法に基づき、鶏にも発酵飼料を与えている。小田さんの言うように、鶏は健康そのもの。3密とは真逆の広々とした鶏舎で、発酵飼料を食べ、美味しい水を飲み、よく運動して…。

いつも思うことだが、本当に私自身がこの鶏の暮らしから教わることは、計り知れない。鶏が私たちに「健康とは」を教えてくれている。

というのは大事な前置きで、今年も嬉しいことに自家製味噌が完成した。スーパーで買う味噌ではなかなか味わうことのできない美味しさで、楠でつくる味噌はとても気に入っている。

もう何年も前に高校生の男の子がインターンに来て「自給というなら調味料もこだわってオーガニックにするべきだ」と断固主張した彼と折り合いをつけたのが、この味噌だった。オーガニック食品を揃えるのはもちろん理想。しかし、それはお金のかかることだし、結局誰かに依存している。なら、ひとつ何かを作ろう。味噌を仕込もうじゃないかと言って、皆ではじめての味噌作りをした。そこから毎年味噌を仕込んでいるので、彼には心から感謝。

今年の味噌の味はと言うと、まず生でそのまま食べてみたところ、うん。美味しい。一昨年も去年も美味しかったが、より優しくなっている。塩の種類を変えた影響もありそう。

去年の味噌は塩が少し尖っていたように感じたが、今年はまるっこい優しい味だ。味噌汁にしてみた感想も同様。優しくて、とーっても美味しい。

自家製味噌を筆頭に、奈良漬けやその他お漬物、手作り納豆など、鶏にならって発酵食品をなるべく取るようにしている。昔から風邪を予防してくれると言われている緑茶も、楠産の立派な薬だ。

あとは日光を浴びて、身体を動かして、よく笑って、よく寝る。結局コロナウイルスは、自然の中で人が生きる生存するための摂理を教えてくれているのだろう。だから、自然の中で生きることをテーマにしている私は、今目の前で起こっていることからしっかり学ぼうと思う。

【昨年仕込んだ奈良漬け。自家製のお米と奈良漬けがあるだけで、幸せな気持ちになる】