今回僕がインターンで学び、感じたことはたくさんあるのですが、その中の二つについて書かせていただきます。
一つ目は「人の評価は行動からしか為されない」ということです。
長年僕は他者や自分について”理解しているか”ということを重視して、それに基づいた評価をしていたのですが、その根底には「ちゃんと分析できていて、状況が理解できているならば相応しい行動ができるはずである」ということを信じていました。
たしかに、ちゃんと理解していれば正しい行動が何かわかるはずで、正しい行動が分かっているならば、そのように行動するのが合理的です。しかし、理解しているからそう行動するはずであるというのは大きな間違いだったのです。
その事実に今回のインターンで直面しました。
些細なすれ違いにより初めの数日間他の人に上手く考えが伝わらなくてヤキモキしていた僕を救ったのは、小手先の考えや論理ではなく、なんとかして挽回するぞと必死になってした仕事でした。
自分の考えを長々と伝えるよりも、行動で示すことの方が圧倒的に有効だったのです。
一般的に人は社会に出て他者と何かを為すまでは自分の考えを行動に移すことが少ないので、理解から人を判断します。理解しているかどうかは社会に出るまでは重視されており、答案や口頭試問により絶え間なく判断され続けていて、それに慣れた人たちは「上手に理解して答えを出す」ようになるだと思います。
しかし、残念なことにそこに行動は伴いません。理解するところまでしか問われてないからだと思います。
考えに囚われすぎず、柔軟に行動していけるような人間こそが本当に評価されるのだと思いました。考えなんてものは空想にすぎず、考えが現実世界に表出したものである行動こそが重要なのかもしれないですね。
二つ目は「実感してみるって大切やなぁ」ということです。
土起こしや畝作りはもちろん、竹林の整地なんかもやったのですが、その大変さは人から想像とは全く異なりました。農業は中高年がやっているものというイメージもあり、「大変そうではあるけれどまあ正直なんとかなるだろう」、「腰が痛くなるとかいうのも年齢が原因じゃないん?」なんて思っていた僕に待ち受けていたのは、壮絶なる腰痛と筋肉痛でした。
土起こしをして石運びを終えた翌日は、腰が痛すぎていつもの姿勢を保つことができませんでした。
あの大変さを味わった今、農家の凄さや、食べ物の有り難さ、ひいては農業機械の凄さといったものがひしひしと感じられます。
話だけ聞いて知った気になっていう「食べ物の大切さ」とは別の、実感した上での「食べ物の大切さ」を知ることができました。
“友人に話して共有できる面白い経験を三つして帰る”なんて目標を立てていたのですが、これはおそらく体験しないとわからないことだし、話では伝えきれないことなので、是非友人にも体験してもらいたいな。
「実際に存在するものや、実際に体験することが大切だ」なんてことを文章で伝えようとするのは些か矛盾を孕んでいるように思えますが、これを読んだ人達に少しでも僕の感じたことが伝わることを願います。
長くなりましたが、これで僕の自給自足インターンを終えようと思います。
東京大学教養学部一年
中谷圭一朗