新見で紙漉き(1-後半)

 お昼ご飯は、紗らささんのお友達の朋子さんの秘密基地(といっても立派なお家)でいただいた。とれたての山菜の天ぷら、カボチャのポタージュ、ベーコンとこごみのパスタ、どれもとてもおいしく、まるで料亭で出てくるもののようだった。ユーチューブで見てずっと食べてみたいと思っていたノビルの酢味噌和えも食べられてうれしかった。

 タラの芽もこごみもノビルも、都会じゃなかなか食べられない。売っていても、タラの芽なんかは結構お高いが、田舎に行けばその辺に生えている。野菜だって自分で作れば新鮮なものが食べられるし、たくさんできればご近所さんと物々交換してもいい。満員電車に揺られて出勤し、遅くまで働いて寝に帰るだけの家に家賃を払い、おいしさ半減の見切り品で腹を満たす。そんな生活のなんとむなしいことか。私はそんな生活はしたくない。自分のために汗を流し、それがほんの少し、誰かのためである暮らしがいい。朋子さんたちのように、自分のものはなるだけ自分で作りたい。味噌も、水あめも、パンも、洋服も。紙だっていつかは。もっともっと、いろんなことを教わりたい。暇で味気なかった大学生活も、今年からは忙しくなりそうだ。