前回の中井さん訪問から1か月。今回のメインイベントは下肥取りだった。下肥、つまりぼっとんトイレにたまった排泄物を畑にまいて土に返す作業。もちろん、私にとっては人生初の体験だ。私は最初、下肥を入れるための穴掘り担当で、他の4人は肥溜めの方に行った。離れた場所からでもしっかり感じられる、すっぱめの刺激臭。1人が両端にバケツをぶら下げた棒を担いで戻ってきた。近づかれるといっそうつらい。何とかこらえて、掘った穴に下肥を注ぎ、藁をかけるというのを繰り返す。私も何度か下肥を運んだ。一番匂いがつらいのは、肥溜めから下肥をすくってバケツに移す時で、口呼吸をしていても、匂いが鼻腔に侵入してくる。まあ、みんなでやったので、なんやかんや面白い体験ではあった。
自分の畑で採れたものを食べ、排泄し、畑に戻してまた作物を作る。この循環が素晴らしいのはよくわかる。肥やしになるものを、金を払って捨てるというのは、確かにもったいない。ただ、匂いもきつくて、バケツも重く、かなりの重労働だ。これを将来の自分の生活にそのまま導入するのは、正直嫌なので、コンポストトイレとかいうものもあるから、いろいろ検討してみよう。こうやって中井さんの暮らしを知り、どう生かそうかと考えるのは、結構楽しい。中井さんの菜園には放っておいてもどんどん生えてくるウコンやミョウガがあるが、ウコンなんて栄養ドリンクに入っているイメージしかなかったから、味噌炒めにするとおいしいと聞いてびっくりした。薬味があると、料理の幅がかなり広がるので、将来絶対植えようと思う。