岡山での下宿生活も二年目になるが、岡山市外に行くことなんてほとんどなかった。電車で1時間半の新見。思ったよりも近い。奥谷さんに誘われて、紙漉きをやっているという紗らささんを訪ねた。
まず初めに紗らささんのお家へ。おばあさんのお家だそうで、広くて年季が入っており、なんと敷地内に川まで流れている。すぐ近くには精米ができる小さな水車小屋が。もう長いこと使われていないが、ここで精米されるお米は、精米機にかけたものと違って機械の熱が加わらず、とてもおいしいお米に仕上がるそうだ。ぜひとも食べてみたい。
次に案内されたのが紙の館。紗らささんが紙漉きをやっているところで、紙漉き体験もできる。私も挑戦させてもらった。すり潰したトロロアオイとミツマタの繊維と水を混ぜたものをふるいですくい、ゆすって繊維を絡ませ、水を切る。今回は体験ということで、掃除機で水を吸い取り、熱い鉄板に張り付けて乾かした。できた紙ははがきとして使えるので、毎年出している中学時代の先生への暑中見舞いは、今年はこの紙で書こう。先生もきっとびっくりするはずだ。本当は繊維をきれいにするのに一番時間がかかり、この工程は最後の一瞬なので、ケーキのデコレーションだけやったようなものだが、自分で作ったことのないものを作るというのは、なんだか感動的だった。